CLARITY法案に新たな壁──ティリス議員が突きつけた“譲れない条件”とは

リプリー
米国の暗号資産規制の中核となるCLARITY法案に、新たな障害が浮上しました。上院銀行委員会のトム・ティリス議員が「ある条件が満たされなければ反対する」と明言し、法案の行方に影響を与えています。市場は期待と不透明感が交錯する中、重要な分岐点を迎えています。

ティリス議員が示した“レッドライン”

今回の焦点は、共和党のトム・ティリス上院議員がCLARITY法案に対して明確な条件を提示した点です。報道によると、ティリス議員は倫理条項(エシックス規定)が盛り込まれなければ反対票を投じると表明しました。

この倫理条項とは、政府関係者やその家族が暗号資産ビジネスに関与することを制限する内容で、特にトランプ大統領周辺の暗号資産事業を念頭に置いたものとされています。

つまり、今回の争点は単なる規制内容ではなく、「政治と暗号資産の関係」に踏み込んだものになっています。

CLARITY法案とは何か

CLARITY法案は、暗号資産市場のルールを明確にするための包括的な法案です。2025年7月には下院で294対134という大差で可決されており、超党派の支持を得ています。

主な内容は以下の通りです。

  • SECとCFTCの管轄を明確化
  • トークンの証券・商品分類ルールの整備
  • 取引所や仲介業者の登録制度
  • 非カストディ型開発者の保護

この法案は、暗号資産市場にとって「ルールの土台」となるため、成立すれば機関投資家の参入を後押しする可能性があります。

なぜ倫理条項が問題になっているのか

今回の対立の核心は、倫理条項が法案の本質にどこまで関係するかです。

民主党側は、政府関係者が暗号資産で利益を得ることを制限しなければ、公平な市場が保てないと主張しています。一方で共和党の一部や業界は、過度な規制がイノベーションを阻害する可能性を懸念しています。

ティリス議員はこの中間的な立場にあり、「倫理条項がなければ支持しない」という強硬な姿勢を取っています。これにより、法案成立の条件がさらに複雑化しました。

審議はすでに遅延、5月以降へ

CLARITY法案は当初、2026年4月中の審議が見込まれていましたが、現在は5月以降にずれ込む見通しです。

遅延の背景には以下の要因があります。

  • ステーブルコイン報酬をめぐる銀行業界との対立
  • DeFi規制の扱い
  • 倫理条項の追加議論
  • FRB議長人事など他議題の優先

特にティリス議員の要求は、審議スケジュールにも影響を与えており、法案の進行を遅らせる要因の一つとなっています。

業界からは強い圧力

一方で、暗号資産業界は法案成立を強く求めています。2026年4月には、CoinbaseやRippleなど120社以上が上院に対し迅速な審議を求める書簡を提出しました。

この書簡では、規制の不透明さが続けば、資本や企業が海外に流出するリスクがあると警告されています。

実際、アブダビやシンガポールなどはすでに明確な規制を整備しており、米国が遅れれば競争力を失う可能性があります。

成立確率は約50%前後

現時点でのCLARITY法案の成立確率は、専門家の間で約50%前後と見られています。

さらに予測市場では、成立確率が約46%まで低下しているとのデータもあり、不透明感は強まっています。

この背景には、複数の未解決課題が同時に存在している点があります。

市場への影響:XRPやETHは様子見

CLARITY法案は、暗号資産市場全体に影響を与えるため、XRPやETHといった主要銘柄にも影響が及びます。

特にXRPは、過去に規制問題で価格が大きく動いた経緯があり、今回の法整備が進めば以下のような変化が期待されます。

  • 取引所での扱い安定
  • ETFや機関資金の流入期待
  • 金融機関での利用拡大

ただし、現状は法案の行方が不透明なため、価格は明確な方向感を持ちにくい「様子見局面」となっています。

今後の最大の焦点

今後の焦点は、ティリス議員の条件がどのように扱われるかです。

選択肢は大きく3つあります。

  • 倫理条項を法案に組み込む
  • 別法案として切り分ける
  • 調整がまとまらず遅延する

特に問題なのは、倫理条項が本来の規制内容とは別の論点である点です。このため、議論が長期化するリスクがあります。

まとめ

ティリス議員が提示した「倫理条項」という新たな条件により、CLARITY法案は重要な分岐点を迎えています。法案自体は下院で294対134の支持を得ているものの、上院では複数の課題が絡み合い、成立確率は約50%前後にとどまっています。

暗号資産業界にとっては、規制明確化が進めば市場の成長を後押しする一方、政治的な対立が長引けば機会損失にもつながります。

今後は、5月以降の審議日程と、倫理条項の扱いが最大の焦点となりそうです。

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言を行うものではありません。
暗号資産は価格変動リスクが高く、制度変更の内容も今後変わる可能性があります。
投資判断は必ずご自身で行ってください。