
100社超が上院に「早く動くべき」と要請
今回の焦点は、米国の暗号資産企業や業界団体100社超が、上院銀行委員会に対してCLARITY Actの審議を前に進めるよう求めたことです。報道では、Coinbase、Ripple、Kraken、Circle、Andreessen Horowitz、Galaxy Digitalなどが関与したとされています。
業界側は、上院での審議が遅れれば、暗号資産関連の投資、雇用、技術開発が米国外へ流出するリスクが高まると主張しています。特に、アブダビ、シンガポール、欧州などはすでに一定のルール整備を進めており、米国が制度面で遅れれば、世界のデジタル金融ルール作りで主導権を失う可能性があります。
CLARITY Actとは何を決める法案か
CLARITY Actは、暗号資産市場の基本ルールを明確にするための米国法案です。最大の目的は、暗号資産をどの規制当局が監督するのかを整理することにあります。
- 証券に近いトークン:SECの管轄
- 商品に近いデジタル資産:CFTCの管轄
- 取引所・仲介業者:登録や開示ルールを整備
- 開発者・非カストディ型サービス:一定の保護を明確化
これまで米国では、暗号資産が証券なのか商品なのかが曖昧なまま、SECによる執行中心の規制が続いてきました。CLARITY Actは、この不透明さを減らし、企業がルールに沿って事業を展開できる土台を作る狙いがあります。
下院はすでに通過、焦点は上院へ
CLARITY Actは、すでに下院で294対134という超党派の賛成を得て通過しています。共和党議員だけでなく、民主党からも78人が賛成に回った点は重要です。
しかし、上院では審議が停滞しています。上院銀行委員会でのマークアップ、つまり修正審議に進めるかどうかが焦点となっていますが、ステーブルコイン報酬、DeFi、AML、議員や関係者の暗号資産保有をめぐる倫理問題など、複数の争点が残っています。
なぜ今、業界が急いでいるのか
業界がここまで強く動く理由は、政治日程にあります。2026年11月には米中間選挙があり、議会の勢力図が変われば、法案の優先順位や内容が大きく変わる可能性があります。
現在の形のCLARITY Actは、暗号資産業界にとって比較的前向きな内容とされています。しかし、選挙後に議会構成が変われば、より厳しい規制案に置き換わる可能性もあります。そのため、業界側は「今の議会で進めるべき」と考えているのです。
争点はステーブルコイン報酬
最大の対立点の一つが、ステーブルコインに関連する報酬や利回りの扱いです。銀行業界は、ステーブルコインに利回りが付くと、預金が暗号資産側へ流出し、地域銀行の融資機能が弱まると懸念しています。
一方、暗号資産業界は、利用者への報酬やインセンティブを完全に制限すれば、米国企業が海外勢に対して競争力を失うと反論しています。この対立により、ホワイトハウスや議会内での調整も難航してきました。
つまり、CLARITY Actは単なる暗号資産ルールではなく、銀行業界と新しいデジタル金融業界の主導権争いでもあります。
ETHとXRPが様子見になっている理由
参考記事では、ETHが2,334ドル付近、XRPが1.42ドル付近で推移し、法案の進展を待つ状態にあるとされています。どちらも規制明確化の影響を受けやすい資産です。
ETHはステーキング、DeFi、ETF、スマートコントラクト基盤としての位置づけがあるため、SECとCFTCの線引きが重要です。XRPは過去にSEC訴訟の影響を大きく受けたため、トークン分類や取引所ルールが明確になれば、投資家心理の改善につながる可能性があります。
XRPにとっての意味
XRPにとってCLARITY Actの進展は、単なる規制ニュース以上の意味を持ちます。XRPは長年、米国規制の不透明さによって取引所上場、機関投資家需要、金融機関利用の面で制約を受けてきました。
もしCLARITY Actによって市場構造が明確になれば、以下のような変化が期待されます。
- 米国取引所での取り扱いが安定しやすくなる
- ETFや投資商品への期待が高まりやすい
- 金融機関がXRPLを検討しやすくなる
- 訴訟リスクより実需評価へ焦点が移る
ただし、法案が通ったとしても即座に価格が上がるとは限りません。重要なのは、その後に実際の資金流入や利用拡大が続くかです。
短期市場は「待ち」の状態
現在の市場は、材料待ちの色が濃くなっています。ETHもXRPも、単独材料だけでは強いトレンドを作りにくく、上院での審議日程や修正内容を確認したい投資家が多い状態です。
CLARITY Actが前進すれば、規制不透明感の後退として市場にプラス材料となる可能性があります。一方で、審議がさらに遅れたり、内容が厳格化されたりすれば、失望売りにつながる可能性もあります。
まとめ
CoinbaseやRippleを含む100社超がCLARITY Actの前進を上院に求めたことは、米国暗号資産業界にとって重要な転換点です。下院では294対134で通過済みですが、上院ではステーブルコイン報酬やDeFi、AMLなどをめぐる調整が続いています。
ETHとXRPは、まさにこの規制判断を待つ局面にあります。特にXRPにとっては、米国での法的な見通しが明確になることで、ETF、取引所、金融機関利用への期待が再び高まる可能性があります。
今後の焦点は、上院銀行委員会がいつマークアップを実施するか、そして最終的にどのような形で市場構造ルールが固まるかです。価格より先に、まずは政治日程が相場の方向性を決める局面に入っています。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言を行うものではありません。
暗号資産は価格変動リスクが高く、制度変更の内容も今後変わる可能性があります。
投資判断は必ずご自身で行ってください。