カルシとポリマーケットが暗号資産デリバティブへ。予測市場は“次の金融取引所”になるのか

リプリー
予測市場大手のKalshi(カルシ)とPolymarket(ポリマーケット)が、暗号資産デリバティブ市場への参入を進めています。これまで政治、スポーツ、経済イベントの結果を取引する場として成長してきた両社ですが、次に狙うのはビットコインなどの perpetual futures(無期限先物)です。予測市場と暗号資産取引の境界が、いよいよ本格的に重なり始めています。

カルシとポリマーケットが狙う新市場

今回注目されているのは、KalshiとPolymarketが暗号資産の無期限先物、いわゆる「パーペチュアル」市場への参入を計画していることです。パーペチュアルとは、満期日がない先物取引のことで、暗号資産デリバティブ市場では非常に大きな取引量を持つ商品です。

通常の先物は決済日がありますが、パーペチュアルはポジションを保有し続けられるため、短期トレーダーから機関投資家まで幅広く利用されています。ビットコインやイーサリアムだけでなく、ソラナ、XRPなど主要アルトコインでも一般的な取引手段になっています。

なぜ予測市場が暗号資産デリバティブへ進むのか

KalshiとPolymarketは、もともと「イベントの結果」を取引する予測市場として成長してきました。たとえば、選挙結果、FRBの政策金利、スポーツの勝敗、企業ニュースなどに対して、ユーザーが確率を売買する仕組みです。

この仕組みは、見方を変えるとデリバティブ取引に近い構造を持っています。将来の結果に対して価格がつき、参加者がリスクを取るからです。暗号資産のパーペチュアルに進出するのは、自然な拡張ともいえます。

  • 予測市場:出来事の結果に賭ける
  • 暗号資産先物:価格の上下に賭ける
  • 共通点:将来の不確実性を取引する

Kalshiは規制下での米国展開を狙う

Kalshiの強みは、米CFTCの規制下で運営される指定契約市場である点です。米国で合法的にイベント契約を提供してきた実績があり、暗号資産デリバティブでも規制に沿った形で展開しやすい立場にあります。

報道では、Kalshiは「Timeless」というコードネームで段階的な展開を準備しており、まずはビットコインなどの暗号資産パーペチュアルを対象にする見通しです。初期段階では米ドル担保を使い、将来的にはステーブルコイン担保にも対応する可能性があります。

また、Kalshiは年間換算で1,000億ドル超の取引量を処理しているとされ、すでに大きなユーザー基盤を持っています。この既存流動性を暗号資産デリバティブへ接続できれば、競争力は一気に高まります。

Polymarketはオンチェーン型の強みを持つ

一方、Polymarketは暗号資産ネイティブな予測市場として知られています。USDCを使ったオンチェーン取引をベースにしており、ウォレット接続によるグローバルな参加が特徴です。

2026年第1四半期には、Polymarketの週次想定取引量が10億ドル超で推移したとされ、政治や国際情勢に関する市場で大きな注目を集めました。これだけの取引量とユーザー参加があるなら、暗号資産価格を対象にしたデリバティブへ拡張するのは自然な流れです。

ただし、Polymarketは米国ユーザーへの提供や規制面で課題を抱えてきた経緯があります。そのため、Kalshiよりも柔軟性は高い一方、規制対応の難しさも残ります。

市場規模はなぜ重要なのか

暗号資産デリバティブ市場は、現物市場よりも大きな取引量を持つことが多いです。特にパーペチュアルは、海外取引所で取引の中心となっており、Binance、OKX、Bybit、Hyperliquidなどが強い存在感を持っています。

この市場にKalshiとPolymarketが参入する意味は、単に新商品を出すことではありません。予測市場で獲得したユーザー、流動性、データ、UIを使って、既存の暗号資産取引所に挑む構図になります。

  • 既存取引所:暗号資産トレーダー中心
  • Kalshi:規制重視の米国ユーザーに強い
  • Polymarket:オンチェーンとグローバル参加に強い

規制面では追い風と逆風がある

予測市場は急成長している一方で、規制当局や政治家からの監視も強まっています。選挙、スポーツ、地政学リスクなどを取引対象にすることへの懸念があり、一部の国では予測市場プラットフォームの利用制限も始まっています。

暗号資産デリバティブに進出すれば、さらにCFTCや各国規制当局との関係が重要になります。特に米国では、パーペチュアルをどのように合法的に提供するかが大きな焦点です。

Kalshiは規制下で動ける強みがありますが、その分、提供できる商品やレバレッジには制約がかかる可能性があります。Polymarketはスピード感を出しやすい一方、規制リスクをどう管理するかが課題です。

暗号資産市場への影響

両社が暗号資産デリバティブへ参入すれば、ビットコインや主要アルトコインの取引環境にも変化が起きる可能性があります。特に影響が大きいのは、流動性と価格発見です。

予測市場のユーザーは、政治や経済イベントを見ながら確率で取引する傾向があります。そのユーザーが暗号資産パーペチュアルに流れ込めば、単なるテクニカル売買だけでなく、マクロイベントや政策材料を反映した取引が増える可能性があります。

  • BTC:マクロ材料と金利見通しの影響が強まる
  • ETH:ETFやステーキング規制が取引材料に
  • SOL・XRP:規制、ETF、実需ニュースへの反応が増える可能性

今後の注目点

今後注目すべきは、両社がどの銘柄から開始するか、どの地域で提供するか、どの担保資産を使うかです。特にKalshiが米国で規制に沿った形で暗号資産パーペチュアルを提供できれば、米国市場にとって大きな転換点になります。

一方で、Polymarketがオンチェーン型の利便性を活かしてグローバル展開を進めれば、既存の海外デリバティブ取引所に対する競争圧力が高まります。

まとめ

KalshiとPolymarketの暗号資産デリバティブ参入は、予測市場が単なるイベント取引から、より広い金融取引インフラへ進化しようとしていることを示しています。

Kalshiは規制下の信頼性、Polymarketはオンチェーンの機動力という異なる強みを持っています。両社がパーペチュアル市場に本格参入すれば、暗号資産取引所、予測市場、デリバティブ市場の境界はさらに曖昧になります。

今後は、商品開始時期、対応銘柄、規制当局の反応、そして実際の取引量が、この新しい競争の行方を左右することになりそうです。

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言を行うものではありません。
暗号資産は価格変動リスクが高く、制度変更の内容も今後変わる可能性があります。
投資判断は必ずご自身で行ってください。